間伐はなぜ必要か?

間伐前の作業

 

 

現在の日本の林業の主役となっているのは「杉」です。杉は1ha(ヘクタール)あたり3000本もの苗木が植えられます。この本数が本当に適正なのかどうかは別の問題なのでここでは置いておきます。

 

 

そして、これが最終的には500~600本にまで減ります。つまり大半は間伐しているのです。間伐するといっても、一定年数を経た間伐材は、主伐材に準じた商品価値を持つ場合もあります。それでも当面の期間は何の利益も生まない除伐の時期が続くわけです。これが林業の大変なところです。

 

 

杉の人工林の例を見ていきましょう。まずは植林をするわけですが、その前に地ごしらえという作業を行わなくてはならないことがあります。地面を覆っている枝や葉を取り除く作業です。そして、3~4年の苗木を1haに2000本~3000本単位で植えていきます。こうして苗木を植えてから5~7年間は、下刈りという作業が続きます。これはまだ競争力がない杉の成長を阻害してしまうようなツル植物、下草、広葉樹などを排除する作業です。

 

 

植えてから7年を過ぎてもツル植物排除は続いて行われます。10年を過ぎると枝打ち作業が行われるようになります。これは、木の下の方にある枝を取り払う作業です。この枝打ちをしないと、杉の木は枝だらけになってしまいます。民家の庭に生えている杉などは、枝打ちなど手入れがされていないので、かなり枝があります。

 

 

杉は本来非常に枝を付ける木なのです。木をまっすぐ成長させ、節を残さないように行われますが、むやみに行えば木の成長力を阻害し、失敗すると木の皮がはげたりするので、かなりの熟練を要する作業です。

 

 

枝打ち用の鉈とのこぎり類を使って、更に木が成長すると、梯子で登って、身体をロープでしばり行います。木の成長に伴って、裾枝打ち、背丈打ち、梯子打ちというように次第に高い枝を落としていきます。期間は30年近くまで約5回行われます。これを数千本、数万本単位で行うのですから大変です。林業はかなりの人力を要求する仕事です。